東京おりがみミュージアムブログ

浅草から約徒歩10分ほどの、墨田区本所にある日本折紙協内にある小さなおりがみミュージアムのブログです。

月刊おりがみ No.515 2018年7月号 特集:7月の空と海

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特集 7月の空と海

◆続 デイケアで折り紙~もっとやさしく~
Origami workshop in the day care service 2nd series

第11 回 カモメとヨット   田中 稔憲
Sea gull and Sailboat by Mr. Toshinori TANAKA

伝承のヨットは、立てるために10の折りすじで「沈め折り」をしたものが、40 年以上も前に笠原邦彦さんの著作で紹介されたこともあり有名です。「沈め折り」は難しく、その形では生徒さんが自力で折ることは期待できません。お手伝いさせてもらうという選択肢もないではありませんし、「ラビット・イヤ(つまみ折り)」から折り目をつけて下からつっついて押しこむという方法もありますが、認知機能が衰えてくるとそれもなかなか難しくなります。
 今回、私が紹介した形も伝承作品です。沈め折りの工夫がないので、この形がおそらく先にできた形だと思われます。谷折りだけで済みますから、苦もなく仕上げられます。立つ工夫のいらない平面作品の利点は、こんなところにありますから、お年寄り向きともいえる訳です。
 カモメはまあ、「逆W」を折るだけでカモメに見えます。さらに羽の黒い部分をちらりと見せれば、あとは細かく折り込んで表現しなくてもカモメになるのです。私が作品作りの中で「贅ぜいにく肉(余分についた脂肪)を落とす」というのは、こういうことなのです。折り紙はヨーロッパ印象派のものの捉え方とリンクすることが多く、「見立てる力」や「強調して表現するところ」こそが大切だと考えます。こういった美意識は日本人の得意とするところで、江戸時代に急速に進化したといわれています。スーパーコンプレックス作品は、印象主義に対して写実主義に徹した作品で、本物そっくりに作ることを目的にしていますが、創作の方法が確立した感がある現代では、より折り紙の本質をつく作品こそ目指す方向ではないでしょうか。
 今月号の色紙作品の話に戻ると、あとは水平線をイメージさせるために青のラシャ紙を下半分に添えてやれば、「夏」という景色は完成します。
 芸術とは心の鏡に映った景色を表現することだと私は思っています。ピカソに代表されるキュビスムも、抽象画も、その思想を原点にして生まれてきたのではないでしょうか。日本人が印象派の絵画を好む理由もここにあると思うのですが、みなさんはどう思われますか?

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◆英語でオリガミしよう Let’s enjoy both Origami and English!
Lesson32  Asari (Japanese littleneck clam) by Mr.Kunihiko KASAHARA

ホタテ貝の立派な姿に比べ、あさりは少々見劣りするので、あまり折り紙で作られないようです。“砂抜き”をしているとき、ぴょこんと突き出された2本の管が、まるで目のように思え、それにかわいさを覚えて工夫しました。(作者)
As Asari clams pale in comparison with scallops, there are not many origami
models. When removing sand from shells, two siphons protrude from shells and
they look like eyes. So, I made the model with these cute siphons. (Author)

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ジンベイザメホオジロザメWhale shark and White grate shark by Mr. Yukihiko MATSUNO
松野 幸彦

ひと折りの違い、形の整え方で印象が変化するのが面白いところです。背びれは浮かないように工夫はしてありますが長期間形を保持するなら糊付けか、糊付けを嫌えば、ホイル紙で折るとよいです。(作者)

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◆クルーザーCruiser by Mr. Yukihiko MATSUNO
松野 幸彦

考え方は、『327号』掲載の「タンカー」(写真右)と同じでアレンジがきくのがよいところ。難点は、最初に折り線付けが必要で、手順でそのまま折れないのが面倒です。

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◆わりばしの袋で作る五角星
Star folded by a piece of chopsticks’ envelope by Mr. Kunihiko KASAHARA
笠原 邦彦

夜空に丸く輝く星を、5条の光芒の5角星で表現したのは、古代エジプトの人だそうです。すごくユニークなイメージですよね!かくてこれは私には大好きなテーマで、いくつも工夫しました。(作者)

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◆笹の葉と竹Bamboo grass and Bamboo tree by Ms. Tomoko TANAKA
田中 具子

竹の用紙の長さは図では節を2つ分しかかいていませんが、⑦のあと作りたい数を②~⑦と同じように折ってから⑧へ進んでください。「作りたい長さ+節で折りこむ部分+α」、幅はできあがりの3倍が必要です。

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◆おりひめ、ひこぼしVega doll and Altair doll by Ms. Sho-ko AOYAGI
青柳 祥子

頭を10cm角、他を15cm角で折ると少し大人っぽくなり、⑭や11のようにあごも後ろに折らなくてよいようです(写真右)。ひこぼしの頭の⑨のわりあいは1/3になっていますが、⑫でさしこめるように加減しながら折ってください。比較的簡単な折りで構成してみました。お楽しみください。(作者)

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◆おってあそぼう!!
扇ブロック Fan-shaped block by Ms. Ayako KAWATE
川手章子

扇の形のブロックです。さしこんでつなぐことができます。単体でも箸おきやメモ立てなどとして使えそうです。(作者)

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◆デザインDesign by Ms. Ayako KAWATE
川手章子

何気なくかんのん折りから折って見ました。おもしろいな…と思いながら、ハテ…作品名をどうしようかと思いましたが、図案(デザイン)のようかなと、カタカナ名にして見ました。(作者)

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◆フレーベルのリース Fröbel wreath by Mr. Masatsugu TSUTSUMI
堤 正継

フレーベルの基本形(模様折りの基礎、伝承の百面相)をもとに、リースにしあげてみました。のりづけなく組むことができます。(作者)

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◆花のくす玉Flower ball by Ms.Noriko SUMIDA
住田 則子

時々、くす玉を作ってみたいなあと思うことがあります。二そう舟→百面相、もう少し手を加えて花のくす玉ができました。(作者)

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◆スイカのバスケットWatermelon basket by Ms. Shizuyo HURLEY
ハーレー静代

イカのバスケットに「夏」をいっぱいつめこんだら、楽しいだろうな…と思い考えました。かわいい柄の折り紙で折って、持ち手をつけなくてもちょっとした小鉢のようにも使えます(写真右)。(作者)

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◆2つで三角ケースTriangular hexahedron by Ms. Sho-ko AOYAGI
青柳祥子

2枚で三角ケースを作ってみました。くみあわせるときの⑤はしっかり谷折りしてさしこんでください。角を中央に向かって押すと、パカッと口が開くのでおもしろいです。いろんなサイズで作って楽しんでみてください。(作者)

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◆読者の広場

◆みんなの作品展
藤枝市葉梨公民館「春の作品展」に参加 渡辺信子静岡県

北九州市門司図書館にて第3回折紙展 堀之内恵美(福岡県)

支部だより

●第2回京都折り紙コンベンション・レポート

●レモンの折り紙で世界記録に挑戦
  広島支部「アトムクラブ」支部長 佐藤 恵/広島県

◆~おりがみ教室とは~◆
日本折紙協会事務局では、全国の日本折紙協会公認の折紙講師を派遣しています。
おりがみ教室をご依頼いただく際は、専用の申込書をご提出いただきますので、協会ホームページをご覧ください。
必要事項をご記入の上、実施日の最低1~2月前にご提出ください。

[折り紙教室料金表]
1.講師報酬:講師1名につき、12,600円(拘束3時間以内・対象40名まで)
※対象60名まで2名、80名まで3名、100名まで4名の講師が必要です。
※標準的な時間割は、講習1コマ45分(2作品)、準備・休憩15分です。

2.超過料:3時間を越える1時間毎に講師1名につき、2,100円を加算
3.材料費(折り紙):実費(一人100円程度+会場宛送料)※そちらで用意する場合は不要。
4.教材費(教本等):実費(内容により不要)
5.講師交通費:実費
6.講師昼食代:実費(時間帯による)
7.講師宿泊費:実費(日程による)
8.管理費:上記1~7の合計金額の50%がマネージメント料として加算されます。
※上記料金は消費税込み

※折り紙教室料金のご請求とお支払いについて
折り紙教室実施後、講師が協会に提出する「折り紙教室実施報告書」に基づき請求書を作成し、ご送付申し上げますので、ご検収の上日本折紙協会へお支払いください。
※講師への報酬等は日本折紙協会から講師にお支払いいたします。

折り紙教室でご準備いただくもの
1.予定参加人数分の机とイスをご用意ください。
2.入門証等の証明パスが必要な場合は、手続き方法と通用口をお知らせください。
3.宿泊を必要とする場合は、宿泊場所の手配の有無をお知らせください。
4.講師の人数に応じた講師控え室を教室付近にご用意ください。
5.作品展示をご希望の場合は、事前にご相談ください(別料金)。


教室時間割(プログラム)その他ご不明・ご要望は担当佐野までお気軽にご相談ください。
TEL:03-3625-1161 / FAX:03-3625-1162

 

今回の作品の折図は月刊おりがみ2018年5月号 No.513に掲載されております。

月刊おりがみは墨田区にある東京おりがみミュージアム日本折紙協会にて販売しております。

日本折紙協会

〒130-0004 東京都墨田区本所1-31-5

◆ TEL:03-3625-1161/FAX:03-3625-1162   

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