東京おりがみミュージアムブログ

浅草から約徒歩10分ほどの、墨田区本所にある日本折紙協内にある小さなおりがみミュージアムのブログです。

月刊おりがみ 2017年10月号 特集:ハロウィン

特集ハロウィン

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◆続 デイケアで折り紙~もっとやさしく~

第2 回 菊  田たなか中 稔としのり憲
Chrysanthemum by Mr. Toshinori TANAKA

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高齢者のための作品を考える中で、高貴や長寿をイメージできる菊の花は喜ばれるだろうけれども、花弁の数が多いので、一枚折りはもちろん、複数の紙を使っても枚数が多くなりすぎて難しそうに思えました。考えているうちにひらめいたのは1:3 の長方形の紙で折るデビッド・ペティさんの「動くハート」を、もっと長い紙で折るというアイディアでした。実際にやってみるとうまい具合に糊代もできて、8 枚で角度がぴったりあって丸くなることが分かり、これならうまくいきそうに思えました。花心は丸いシールに、アクセントと止めの役割を務めてもらい、最初の作品ができました。実際に老人ホームで折ってもらうと、皆さん無理なく仕上げてくれて、自信が持てました。
 菊にはいろんな種類があって、今回の色紙作品ようなものもあるのですが、何輪かで1 枚の色紙にしてみると、なかなか見栄えのするものになりました。さらに3 枚だけ折ってつなげば、横向きの花もできました(写真下の左)。こつこつと時間をかけて、さらに幾重にも重ねていくと、なかなか豪華なもの(写真下の右)になってきました。この幾重にも重なったものは、老人ホームの教室では時間がかかりすぎてなかなか取り上げられませんが、できる方もいらっしゃるかもしれません。
 生徒さんひとりひとりの折る力によって使い分けると、いろいろなバージョンが楽しめそうな教材となりました。
 葉の方も菊はかなり複雑な形をしているのですが、うんと簡略化して花に添えてみるとますますそれらしく見えてきました。この作品は、なんとか合格点に届いているのではないでしょうか。


◆ミニ知識

◇菊…原産国の中国では、古来、耐老延年、めまいや眼病に効く薬とされてきました。奈良時代の初めに日本に渡来し、現在、切り花、鉢花、食用として年間の消費量
が一番多い花です。菊紋が天皇家ゆかりとなるのは、鎌倉時代初めの後鳥羽天皇(在位1183 ~ 1198 年)が好んで用いたからといわれています。皇室の紋章やパスポートの表紙に描かれていることから菊は日本の国花と思われていますが、日本には法律上制定された国花はありません。
重陽節供…中国から伝わった節供行事のひとつです。
中国の陰陽説では奇数を陽として縁起のよい数としました。陽の数字の最大数の9はとくに重んじられ、それが重なる九月九日を重陽節供として菊花酒を飲み、無病息災と長寿を願う風習がありました。なお、「菊の着せ綿」という風習は日本で生まれました。前日に菊の花を真綿でおおい、九日の朝に香りと水気を吸わせたその綿で顔や肌をぬぐうというものです。一方、重陽節供は民衆の間では秋の収穫祭と合わさり、「お九日」として祝われるようになりました。今でも「長崎くんち」や「唐津くんち」は盛大な祭りとして残っています。


◆みみずくOwl by Mr. Hiroo KAMO
加茂 弘郎

16は「ぐらい折り」となりますが、目の周囲が丸く見えるように加減しながら折ってください。足先の三角形の部分は内側でのりづけして貼り合わせるとしっかり自立します。(作者)

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クロネコ Black cat Ms. Sho- ko AOYAGI
青柳祥子

創作をするときに、このところ11.8cm角を使って折ることが多くこの作品も11.8cm角のサイズでできた作品です。15cm角を使用すると、顔が大きすぎて立ちません。親ネコ約12cm角、こどもネコ7.5cm角を使って、しっぽを弓なりにしごくことで、立たせることができます。(作者)

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◆ミニ知識

◇黒
くろねこ
猫…中世のヨーロッパでは、魔女の手下としてフクロウやヒキガエルやコウモリなどとともに忌み嫌われていました。魔女が黒猫の姿になるとも信じられていました。今でも黒猫にまつわる縁起の悪い迷信がありますが、一方で、地方によっては戸口に現れると家が栄えるなど縁起のよい迷信もあるそうです。


◆猫Cat by Mr.Yukihiko MATSUNO
松野幸彦

正方形一枚折りのネコです。13からは「ぐらい折り」で、尾の表情を自由に、かわいい猫を作ってください。

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◆こうもりBat by Ms. Hiromi TAKAGI
髙木 ひろみ

ハロウィンの飾りのために創作しました。ちょっと太めのこうもりに仕上がりました。翼の段折りが気に入っています。(作者)

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◇コウモリ…前脚と指が長く伸び、それらと胴・後脚・尾の間に張った皮膜が翼になっています。哺乳類ですが、夜は翼を使って飛び回り、昼間は後脚の鋭いかぎ状の爪で木や岩などに逆さまにぶらさがっています。名前は蚊をよく捕食することから「蚊屠り」と呼ばれたことに由来します。


◆英語でオリガミしよう Let’s enjoy both Origami and English!
Lesson 23 Flying Witch

「ほうきに乗った魔女」は、好きなテーマで、いくつもくふうしていますが、今回取り上げてただいたものが最初のくふうで、折り方がもっともシンプルなものです。その分、②④⑥⑦などでの目安の取り方に注意してください。(作者)
As“ a witch on a broomstick” is my favorite theme, I have been creating several
sorts. The model here is the first one I devised and its folding is the simplest.
On the other hand, please pay attention to the place to fold for ②, ④, ⑥, ⑦etc.
(Author).

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◆ミニ知識

◇ハロウィン…10 月31 日の夜。2000 年以上も前のケルト人(古代ヨーロッパのアイルランドスコットランド、イギリスなどに住んでいた先住民)のサムハイン祭が起源とされます。ケルト人の暦では11 月1 日が新年で、冬の始まる日でした。その前夜には冬の訪れを喜ぶ死霊、妖怪、魔女などが現れると信じられて、人々は魔物から身を守り、きよめるために篝火を焚きました。この祭がキリスト教と結び付きました。Halloween はAll Hallows Even(万聖節前夜祭)の略で、万聖節とはすべての聖人を記念する日、Hallow は古期英語のアングロ・サクソン語で聖人(saint)を意味します。19 世紀中ごろにはハロウィンの風習はイギリスはじめヨーロッパではすたれていましたが、新天地を求めてアメリカへ渡った移民たちがその風習を守りました。そして現在のような、仮装、パレード、お菓子をもらいに回る子どもたちなど、家族や友人や地域の人たちがともに楽しむイベントに変化し、そのアメリカ式ハロウィンが世界じゅうに広まっているのです。

●ミニ知識参考図書:『マイ・ヴィンテージ・ハロウィン』(グラフィック社)、『イギリス祭事カレンダー』(彩流社)、『ヨーロッパの祭りたち』(明石書店)、『猫めぐり日本列島』(筑波書房)、『猫の神話』(新紀元社)、『フクロウの民俗誌』(平凡社)、『鳩居堂の日本のしきたり豆知識』(マガジンハウス)、『絵でつづるやさしい暮らし歳時記』(日本文芸社)、『記念日・祝日の事典』(東京堂出版)、『植物ごよみ』(朝日新聞社)、『朝日新聞』(朝日新聞社)、『年中行事事典』(三省堂)、『サンボンネットスーの12か月』(ブティック社)、『世界大百科事典』(平凡社)、『大辞泉』(小学館


◆かぼちゃのピックケースPumpkin toothpick holder by Ms. Yu ‒ ko FUJIMOTO
藤本 祐子

下の口を開くと立てられます。指人形にしたり、鉛筆のキャップにしたり、色々楽しんでください。ポケットのない簡単なもの(ピックケースにはなりませんが)もできます。顔を描くとジャックオーランタンとして使えます。その場合は本体の1/4の大きさで折った伝承の「とんがり帽子」をかぶせるとピッタリです。(作者)

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◆とんがり帽子Pointed hat by Ms. ShokoAOYAGI
青柳 祥子

ちょっとおしゃれなとんがり帽子です。両端の「魚の基本形」が羽のようにも見えます。輪なげのベースにもなりそうですし、指輪かけにもなります。(作者)

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◆雨蛙(びきたん)
堤 政継

地元(福岡県柳川市)では雨蛙のことを「びきたん」と呼んでいます。最近は農薬や減反のせいか、なかなか見かけることも少なくなりました。(作者)

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◆いたずらおばけSpook by Ms. Ryu‒ko NASHIMOTO
梨本 竜子

帽子を取ると、中にメッセージや小さなお菓子を入れることができます。(作者)

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◆ナナメなケースTrapezoid case by Ms. Ayako KAWATE
川手 章子

折る割合を片方だけかえて折ってみました。大中小それぞれ並べるとグルッと輪になりおもしろそうだなあと思いました。パーティーなどで使ったら楽しそうです。(作者)

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◆トートバッグTote bag by Ms. Masako FUTAWATARI
二渡 昌子

持ち手を付けるところが少しやり辛いかもしれません。クリップを使うなどして工夫してみてください。持ち手一本掛けのバリエーションもあります。投稿時には簡単に折れるリボンをさしこんでみました。(作者)

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◆サンボンネット・スー
髙木 ひろみ

パッチワークキルトのモチーフで知られているサンボンネット(日よけ帽子)をかぶったスーちゃんです。バッグやお花を持たせて楽しんでください。20からは、帽子の先を浮かせて折ります。26で腕を折る時は、紙が厚くなって折りにくいですが、内側の溝に合わせて折ってください。(作者)

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この作品の折図は月刊おりがみ2017年10月号 No.506に掲載されております。
 
月刊おりがみは墨田区にある東京おりがみミュージアム日本折紙協会にて販売しております。
〒130-0004 東京都墨田区本所1-31-5

◆ TEL:03-3625-1161/FAX:03-3625-1162   

◆ E-mail:info@origami-noa.com

 インターネットでも購入できます。
 
↓以下のリンクからFujisan.co.jpの購入ページに移動いたします。

www.fujisan.co.jp






日本折紙協会(http://www.origami-noa.jp/)とは~
NIPPON ORIGAMI ASSOCIATION (NOA)
日本折紙協会は、折り紙を世界の国々により一層普及させたいという思いと、幼児教育に限らず、大人の趣味、高齢者や身障者の方のリハビリテーションなど様々な可能性をもつ「おりがみ」普及の一助となりたいという考えから1973年10月27日に結成されました。
現在では、月刊「おりがみ」の発行、「世界のおりがみ展」「折紙シンポジウム」の開催、「おりがみ級」「折紙講師」「折紙師範」「折紙上級師範」の認定、「おりがみの日」記念イベントの実施、「日本折紙博物館」との提携など、おりがみ普及のためにさまざまな活動を行っています。

~会員になるには~
月刊「おりがみ」の年間購読を申し込めばどなたでも会員になれます。会員の特典として、協会発行単行本と協会取扱い折り紙商品の割引購入、月刊「おりがみ」への創作作品投稿、「世界のおりがみ展」「おりがみの日」「折紙シンポジウム」など協会主催行事に参加および作品を応募できるほか、「おりがみ級」「折紙講師」の申請資格があたえられます。

~月刊「おりがみ」とは~
会員から投稿される創作折り紙作品(話題の動物やキャラクター、季節にそった行事・イベントに関するもの)の折り図(折り方を図で順番に説明したもの)を紹介するほか、会員の折り紙活動を紹介します。折り図の順番通りに折っていけば完成できるので、小学生から90代の方まで1万人を超える会員の方がおりがみを楽しんでいます。
月刊「おりがみ」は毎月末ごろお届けします。

~世界のおりがみ展とは~
さまざまな情景を折り紙で表現した立体パノラマ作品(おりがみブースといいます)と個人作品の展示コーナーにおりがみ教室を加えたイベントが『世界のおりがみ展』です。もちろん書籍や折り紙用紙の物販コーナーを加えることもできます。

現在、世の中では様々なイベントが行われていますが「世界のおりがみ展」は動員催事と文化催事を兼ね備えた独特の巡回展で、1976年の第1回展より20年以上の歴史があります。 

3年に1度ひとつのテーマにそって制作され、お子様ばかりではなく大人の方にも十分楽しんで頂き、毎回皆様に驚きと感動の世界を展開しています。なお、「世界のおりがみ展」には、外務省と文化庁の後援を戴いております。他に都道府県・市町村・地元教育委員会・マスコミ等に後援を戴いている場合もございます。 

おりがみ展は、おりがみブース・個人作品展示とおりがみ教室に、オプションの[販売コーナー]で構成するおりがみイベントです。
[おりがみブース]は、数え切れないほどの作品によって作られたジオラマが、所狭しと展示されています。約90㎝角の展示台(ブース)とパネル(壁面)作品を基本に組合せて大小変化にとんだ装飾を可能にしています。又、この展示台は折りたたみ式で、運搬時には箱型に収納して運べるようになっています。 

[個人作品]は、折り紙作品コンクールの対象になり、日本国内のみならず、世界20数カ国から送られてきた作品が、200余点集まります。その中から、外務大臣賞、国際交流基金理事長賞、NHK会長賞などの賞が授与されています。さらに、折紙著名人の作品も招待作品として展示します。 

[おりがみ教室]は、日本折紙協会認定の折紙講師により行われています。1回40分の講座が1日数回行われ、いずれの会場でも連日大好評を頂いております。 

[販売コーナー]は、日本折紙協会編集発行の月刊誌「おりがみ」、折り紙専門書、有名折り紙メーカーの商品(折り紙用紙等)を豊富に取り揃え、販売しています。これらの商品は、日本折紙協会がまとめて会場へ搬入・搬出致します。 

この「世界のおりがみ展」は過去には全国の有名百貨店の催事として多く実施され、開催期間は標準で6日間前後です。集客には実績があり、「これほど折り紙が人気のあるものとは思わなかった」と催事のご担当者には必ず驚かれ、喜ばれます。昨年夏には日本橋三越本店催事場で実施し、大好評のうちに幕を閉じました。

来訪者としては、年配の方はもちろんですが、お子様連れのファミリー層も多いです。ベテランの折紙講師が懇切丁寧に教えますので、親子で皆さん楽しんでいかれます。当協会が活動趣旨に掲げている「折り紙の普及」にご協賛いただき、ぜひとも開催をご検討いただきたいと存じます。

~折紙シンポジウムとは~
全国各地で毎年夏(7月下旬)に開催。講演会、児童教育部会、歴史研究部会、創作部会、折り紙教室などにより新たな折り紙の世界に触れる機会として、また会員相互の情報交換や懇親の場として2泊3日の日程を行楽地(温泉地)で楽しく過ごします。世界各国から毎年300名を超えるおりがみファンが集まる世界最大の「おりがみイベント」です。

おりがみの日(11月11日)とは~
この日は世界平和記念日であり、また数字の「1」が4つで正方形折り紙の4辺を表すことから、日本折紙協会では「おりがみの日」としています。この日を中心にして、会員の皆さんから寄せられた作品の展示会「おりがみカーニバル」や折紙講師勉強会を毎年10月にこどもの城(東京都渋谷区)で開催します。

~「おりがみ級」と「折紙講師」とは~
「おりがみ級」とは、主に16歳未満の会員のための資格です。月刊「おりがみ」で指定している作品を規定数折って協会に送付し、認定されると「おりがみ級認定証」が授与されます。最初は10級からスタートします。16歳未満の1級取得者には申請により「こどもおりがみ博士」認定証と、NOA特製バッジが授与されます。(詳細は月刊「おりがみ」をお読みください)

「折紙講師」資格は、16歳以上の会員であればどなたでも申請できます。協会発行の「おりがみ4か国語テキスト」を購入し、テキスト掲載の全作品約60点を自作完成させた形で申請書(テキスト巻末)とともに協会に送付し、申請料2,160円を納付(下記口座番号へ郵便振替)します。その後審査会が全作品合格と認定した方に折紙講師認定証、資格証、講師指導の手引を授与します。不合格作品があれば、その作品のみ折り直して再提出いただきます。(詳細は月刊「おりがみ」をお読みください)。

口座番号00110-6-188035 加入者名「日本折紙協会

~おりがみをおしえる~
老人ホームや社会福祉施設、自治体主催のサークル、保育関係施設・学校、文化センター、カルチャー教室などなど、さまざまな場所でおりがみは活躍しています。
独自にボランティアで教えている会員の方も多くおられますが、協会には全国から「おりがみを教えてくれる方を紹介して欲しい」という依頼が毎月あり、折紙講師資格をお持ちの会員の方に指導をお願いしております(協会より報酬を支給)。
おりがみ教室では、お子さんから年配の方まで「おりがみをおぼえたい」という気持ちにこたえようと講師も真剣です。熱のこもった授業を終えて帰られる皆さんの表情は満足そうですが、講師の方は生徒の「ありがとう」の言葉に安心しつつも、もっとわかりやすい説明はないだろうかと考えるようです。毎回真剣勝負なので様々な苦労がありますが、いろいろな形で努力が報われるようです。

~おりがみ教室とは~
日本折紙協会事務局では、全国の日本折紙協会公認の折紙講師を派遣しています。
おりがみ教室をご依頼いただく際は、専用の申込書をご提出いただきますので、
協会ホームページをご覧ください。
必要事項をご記入の上、実施日の最低1~2月前にご提出ください。